どこにも行けない

結局どこにも行けない

SUMMER SONIC2019でTHE 1975をみた

サマソニでみるのは2014年以来。あのときは割とすいてて前の方でも自由に踊れた。今回はパンパンだ。

 

今回のサマソニは個人的には2枚目のアルバム発売後初のライブだったわけだけど、ライブで聴いて思ったのはものすごく内省的な音楽になったなということ。

ファーストアルバムでは、自分と世界とのつながりはおそらく個人で認知できるごく限られた世界だったのではないかと。それが一気にスターダムを駆け上がった彼らの状況は目まぐるしく変わっただろう。彼らを踊れるバンドだと、イケてるバンドだと、そう思うファンがどれほど増えただろう。それが間違っているという話ではないんだけどさ。

 

今回のサマソニでのマシューは痛々しかった。叫んでいるのにどこにも誰にも届いていないような歌い方をして、バンド自身も閉ざされていた。もちろん暑くて酒を飲んで多少具合が悪くなっていたのはあると思う。でもステージで酒を飲むのはずっと前からだ。ワインとか。

あんなに大勢の人が見ているのに、誰もマシューを助けることができない。彼の声はどこに届いているんだろう?彼のメッセージは音楽にもステージ上の映像にも出ているはずなのに、誰もが"イケてる"としか認知していないのではないか?彼のメッセージを受け取ってくれる人はいないのか?

 

なぜだかひどく苦しそうに見えて、ファンが笑顔で踊っていてもマシューには、バンドには笑顔がない。それが彼らの今のスタイルだから?

あんなに叫んでいるのに誰も気づいてくれないのはどれだけ苦しいことだろう。叫んでいるのはわかるのに何を叫んでいるかがわからない。叫んでいることが多いからか、問題ばかりでその問題全てに吠えているからか。

 

彼らのステージは孤独でいっぱいのように見えた。誰とでもわかちあえるようでわかちあえない。